#99 診断名が付くと選手が引き起こす勘違い

「膝が痛い」など痛み例えば半月板損傷、靭帯の捻挫/断裂などというようなのが診断名になります。

前述した欠けたドーナツの例でもお話しましたが何か欠けた部分があればその部分が人間気になってしまいます。以前にこうゆう出来事がありました。高校生の部活動で足首を捻挫した生徒がいました。確かに軽く捻ったようでしたが、私か思ったのは「なぜ怪我をしたのか?」「もし彼の体のコンディショニングが最高だったら捻挫せずにバランスを保てたのではないか?」という仮説です。


もし怪我のレベルが(客観的な評価で)10段階のうち、レベル5程度の怪我なら防げなかったのかもしれませんが、レベル2くらいの怪我だとしたら体の調子が良ければ足首を捻らずに済んだのかもしれません。本来起こるべき怪我ではなかったものが身体のコンディショニングが悪かったが為に起きてしまったということされ考えらえます。


一般的に捻挫は「防ぐことができなかった怪我(アクシデント)」として考えられます。が、本当にそうかな?とは思ってしまいます。怪我をした生徒は全身の筋肉が疲れ切っていて足首だけでなく、股関節や背中などの疲労具合は凄かったから「他の部位に力を逃すことができなかったから、結果的に怪我をしてしまった」というようにしか考えられませんでした。
本当の怪我の原因は特定のしようがありませんが、恐らく複数ある原因が運悪く重なった時に起こります。診断名と原因は全く別ですが、「足首を怪我して待ったのはアクシデントで防ぎようがなかった」と言ってしまったら本来すべき予防やコンディショニングの意味がなくなってしまいます。


事実、身体のコントロール(ボディコントロール)が高い選手のプレーを見ていると、「そこで転ばないのか!」というようなプレーを見ることがあります。これはトレーニングの賜物ですし、自分の体を常にケアしているという結果できるプレーです。
一度怪我をしてしまったら、足首の場合は(程度には寄りますが)2-3週間完治するまで要することがあります。これは高校生でいれば貴重な3年間(実質2年半程)の14日から21日間はプレーできないという事なので大きな意味を持ってきます。プロ野球選手であれば週6試合で143試合(メジャーリーグであれば162試合)、Jリーグであればほぼ毎週で合計32節ありますが2−3週間の怪我になれば10%ほどプレーできないことになります。大学生でアスレティックトレーニングを学び出した時に選手の推定年俸を怪我をしたプレーできなかった日程と試合数で換算してみたら、「怪我をしないことの価値」という経済的価値は物凄く大きいのが想像できました。高校生であれば365日x3年間=1095日のなかの14日間であれば1.2%になります。

それに怪我をしたことによる「ココロのストレス」や「怪我の記憶や不安」があるでしょうから実際は小さな怪我がトータルで考えると大きな意味を持ってきます。

チームプレーであれば連携プレーやチームワークにも影響を与えるでしょうから思っている以上に影響は大きいと考えてられます。
同様に体調を崩したりしても同じことなので怪我をしない身体作りや体調管理というのはアスレティックトレーナーとしては最も大事な能力と考えています。